2024年6月4日火曜日

上から2桁・・・

子どもたちに次の問題を提示します。

「1.8mで1.2㎏のソースかつ棒があります。1mでは何㎏ですか」

4ます関係表を使って,式を求めます。1.2÷1.8という式が見えてきます。この後,子どもたちはこの計算を進めます。

計算が始まってしばらくすと,「割れない」「同じ答えが続く」「割り切れない」と声があがります。答えが「0.666・・・」となり小数点以下に6が永遠に続くのです。

この結果を見た子どもから,次の声があがります。

「それなら四捨五入したらいいよ」

「約になるね」

「でも,何の位で四捨五入するの?」

概数で表すアイディアが生まれてきました。しかし,概数の範囲を確定しないと四捨五入はできません。子どもからは2種類の声が生まれてきました。

最初の声は「四捨五入して小数第二位まで求める」でした。この視点だと「約0.67」になります。

もう一つの視点が「上から2桁の概数にする」でした。ところが,この視点では考えにズレが生まれました。「0.7」と「0.67」です。

一の位の0をスタートにしたら0.7,小数第一位をスタートにしたら0.67と概数が変わってしまいます。果たして,どちらの考え方がよいのでしょうか。

子どもたちの話し合いは,一の位の0を意味があるものと捉えるのか否かで判断が分かれました。話し合いは二転三転しましたが,子どもたちが納得したのは次の説明でした。

「もし1.67という数があるとしたら,この一の位の1は1個あるということだから意味がある。でも,0.67の0はそもそもないものだから意味はない。だから小数第一位の6から数える」

「1.67を10倍すると16.7になる。最初の一の位の1には意味があるから,10倍しても残る。でも,0.67を10倍すると6.7になる。最初の一の位の0は消えた。最初の0には意味がないから消えた。だから,0.67を数え始めるのは小数第一位の6から」

この説明に子どもたちも大いに納得しました。形式的に,一の位が0の場合の「上から2桁」のスタートの位置を教えることは簡単です。しかし,それでは論理的思考は育ちません。このような学習過程が大切ですね。