2024年6月15日土曜日

基準はどっち?

子どもたちに次のように投げかけます。
「赤白青黄のリボンの長さは何mですか」
当然これだけでは,長さは分かりません。「数字を教えてほしい」などの声があがります。

そこで,問題文の続きを提示します。
「青は赤の3.5倍です」
「赤は2mです」
子どもたちがノートに青の長さを求めていきます。ところが,わり算の計算・かけ算の計算をしている姿が見えます。さらに「えっ,えっ」「青が長い?」などの戸惑いの声が生まれてきます。すると,「図を描けば分かるよ」と声があがります。抽象を具体に置き換える見方です。そこで,図を板書します。
「赤が①だとしたら,青が3.5になる」
「赤が基準」
「言葉にしたら,青=赤×3.5になる」

図に置き換えることで,リボンは青が長くなることや「2×3.5」のかけ算の式で求められることが見えてきました。ところがここで,「3.5×2でもいいんじゃない?」と声があがります。答えはどちらも同じになります。すると,この声に対する説明が続きます。
「それは違います。3.5×2にしたら,青は3.5mの赤の2倍という話になる」
「4ます表にしたら分かるよ」
「横に×3.5するから,式は2×3.5」
図・4ます表・問題文・基準にこだわることで,正しい求め方に辿り着きました。

続いて,2問目を提示します。
「黄は赤の0.6倍です」
「黄は1.2mです」
2問目は先ほどよりもハードルが高かったようです。「わかんない」「わり算?かけ算?」という戸惑いの声が聞こえてきました。
困ったときには図や4ます表を使うことを,子どもたちはこれまでの学習で経験しています。最初に生まれてきたのが,図を使うアイディアです。
黄のリボン1.2mを描きます。その下に,赤のリボンを描きます。0.6倍という問題文があるので,1.2mの長さの0.6倍の長さの線を引きます。この図を見た子どもから,「あれ?」「赤の方が長いよ」と声があがります。基準量を赤とみるか青とみるかで,図が異なります。この話し合いで,赤の方が長いことが見えてきました。しかし,この図を見ただけでは式を特定することはできません。

そこで,4ます表を使って考えます。「1.2m」「□m」を書き入れます。その下に倍の数を記入します。ところがここでもズレが生まれます。「1倍」をどちらの下に記入するかについてです。
「1.2mが1倍じゃないよ」
「基準は赤でしょ。だから赤の□mの下が1倍」
「基準は1問目も2問目も変わっていないよ」
「1問目と同じ言葉にしたら,黄=赤×0.6だよ」
「だから式は1.2÷0.6だよ」

基準意識が繰り返し出てきた1時間でした。基準意識は算数学習では低学年から繰り返し活用される大切な見方・考え方です。