次の問題を子どもたちに提示します。
「1m80円のリボンがあります。①のリボンの代金はいくらですか」
①のリボンを提示します。「160円」という声が多数聞こえてきました。そこで,この気持ちを読解します。
「1mが2個あるから」
「80×2で160円」
①のリボンが1mリボンの2倍に見えていることから生まれた声です。しかし,本当の長さは2.1mです。すると,この結果を見て首をひねっている子どもの姿が見えました。その理由を尋ねます。
「小数のかけ算になりそうで・・・」
「そんなのあるの?」
子どもたちの既習は,小数×整数です。整数×小数は未習です。従って,かける数が小数の立式を行うことに不安を感じたのです。
すると,この声を受けて次の声があがってきました。
「でもさあ,(小数でも)増えるならあるよ」
「小数のたしざんは増えるだけど,あったよ」
子どもたちにとって,かけ算は答えが増えるイメージがあります。このスタンスに立てば,小数のたしざんができたのですから,小数のかけ算もあり得るという考え方です。既習とつなげたよき見方が生まれてきました。
その後,4ます関係表を使って,リボンの長さが2.1mのときの代金を求める式が,80×2.1になることを確認します。既習とつなげることで,小数のかけ算があり得ることを,子どもたちは納得していきました。
ところでリボンの長さは,2.1mではなく2.5mであったことを伝えます。2.5mに伸びても,考え方は同じです。80×2.5という式を作ることができます。
さて,式はできました。では,どうやって答えを求めたらよいのでしょうか。
子どもからは3つの考え方が生まれてきました。
ア.2.5を2と0.5に分けて計算するサクランボ計算。80×2は計算できます。しかし,80×0.5はできません。しかし,これは80の半分なので40と分かります。
イ.80×2.5を80×25に置き換えて計算します。小数の存在が嫌だからです。整数×整数なら計算ができます。しかし,この答えはもとの式を10倍したものです。従って,この答えを10でわる必要があります。もどしているのだ算です。
ウ.80×2.5を10×8×25÷10と置き換えます。さらにこの式を,10÷10×8×25と変身します。するとこの式は,8×25になります。これなら計算できます。サクランボ&入れ替え計算です。
子どもたちにとっては,もどしているのだ算がわかりやすいという声があがりました。