2024年5月15日水曜日

計算方法の一般化

 80×2.5,80×2.1の整数×小数の計算に前回取り組みました。そこでは3つの計算方法が生まれてきました。それらの方法が,他の計算でも使えるのかを考えさせました。
かける数を2つに分解する「サクランボ算」は,80×2.3のようなかける数のきりが悪いとできないのではないかという声があがってきました。

そこで,かける数がきりが悪い数で構成されている60×4.7で実験を行いました。
4.7を2つに分けると,4と0.7です。しかし,60×0.7は計算できません。やはりきりの悪い数では「サクランボ算」はうまくできないようです。

一方「もどしているのだ算」は,60×47を計算し,その答えを10でわります。これは全員が計算できました。「もどしているのだ算」は「最強」の計算方法のようです。
また,「サクランボ+入れ替え算」も計算ができました。60×4.7=10×6×47÷10とサクランボ方式で数を分解します。その後,10÷10×6×47と式を入れ替えると計算ができます。この方法も「最強」と声が聞こえてきました。

ところが,この方法に対して次の声があがります。
「今までは,80×や60×で何十のかけ算だからできたのかもしれない。もし,59×4.7みたいな数になったら,うまくできないかもしれない」
かけられる数が中途半端になると「サクランボ+入れ替え算」は,うまくできないのではないかという声です。よい例示の式が生まれてきました。

そこで,この例示の式で実験を行います。
「もどしているのだ算」は,59×47の答えを10で割ることで,計算ができます。
では,「サクランボ+入れ替え算」はどうなるのでしょうか。この方法については,「えっ」「難しい」と声があがります。59の分解がうまくできないからです。「できた」という子どもに,計算方法を尋ねます。「59×47÷10」と分解していました。この分解を見た子どもから,声があがります。

「それなら『もどしているのだ算』と同じだよ」
「同じ式に×と÷が混じっていると分かりにくいね」
「サクランボの作り方が難しいよ」
「人によってサクランボの作り方が違うかもしれないよ」
「そうすると答えが出た後で,確かめるのが困るね」
これらの声に対して,「確かめ算をしたらいいよ」などの声があがりますが,議論は平行線です。

そこで,さらに別の問題で実験を行います。「24×3.3」を計算します。
「もどしているのだ算」は,24×33の計算結果を10でわるだけです。「絶対に同じになる」と自信満々の声があがります。

一方,「サクランボ+入れ替え算」は,「3×8×1.1×3」「24×33÷10」と異なる式が生まれてきました。先ほど生まれた「人によってサクランボの作り方が違うかもしれないよ」の式が,まさに生まれてきたのです。「答えの確かめで混乱しそう」との声が聞こえてきました。

その後,231×2.3の式でも実験を行います。「もどしているのだ算」は全員が答にたどり着きました。一方,「サクランボ+入れ替え算」はこの問題でも異なる分け方が生まれてきました。
最終的に,多くの子どもは「もどしているのだ算」がわかりやすいと考えました。しかし,一定数の子どもたちは「サクランボ+入れ替え算」がわかりやすいと考えています。果たして,この後はどうなっていくのでしょうか・・・。