2024年5月16日木曜日

右を揃える?

子どもたちに,次のように投げかけます。
「どんな小数の計算も,昨日の方法が使えますか?」
子どもたちが考えやすいと考えたのは,「もどしているのだ算」「サクランボ+入れ替え算」でした。この時点では,「もどしているのだ算」は全員ができると考えました。一方,「サクランボ+入れ替え算」は「できない?」という声も聞こえてきました。
そこで,次の文章問題で実験します。
「1m123円のうまうま棒があります。4.5mなら代金はいくらですか」

式は123×4.5です。「もどしているのだ算」「サクランボ+入れ替え算」いずれの方法でも答えを求めることはできました。しかし,「サクランボ+入れ替え算」は,123と4.5を分解する式が複数生まれてきました。つまり人によって,分け方が異なったのです。これは前回も生まれてきた現象です。そのため「分かりにくい」という声も聞こえてきました。

「もどしているのだ算」で計算しているとき,多くの子どもは筆算をノートに書いていました。そこで,どのように筆算を書いたのかをここで尋ねます。多くの子どもは,123の3と4.5の5が縦に揃うように書きました。一方,123の3の下に4.5の4が縦に揃うように書いた子どももいます。この書き方に対して,「気持ちは分かる」と声があがります。
「123の右端には小数点がある。4.5の小数点と縦に揃うように書いた」
「たしざんやひきざんは位を揃えて計算したから,同じように書いた」

一方,次の声も聞こえてきます。
「今までの筆算は右端を揃えて書いたから,これも右端を揃える」
この声も既習の筆算をもとにしています。ところが,この声を受けて次の声があがってきます。
「だったら123は123の右に0が続くんだから,123.0×4.5としたら右が揃うよ」
123の見えない小数第一位に0を付け足したら,右が自然に揃います。この方法でもよさそうです。だとしたら,どちらの方法もあり・・・?

すると「123.0×4.5を筆算したらいい」と声があがります。そこで,そのまま筆算で計算します。すると答えは「5535.0」となります。位を揃えて計算したはずが,答えが異なってしまいました。

この結果を見た子どもから,今度は次の声があがります。
「123.0×4.5の式だけど,頭の中では本当は10倍10倍して123×45と思って計算している。だから右を揃えて計算する。でも,本当は100でわる答えだから,最後に100でわる」
頭の中では整数に置き換えて計算するから,筆算も整数に置き換えた状態で書くという説明です。これに子どもたちも納得です。

この説明では,かけられる数・かける数とも10倍にする声が生まれてきました。そこで,次の問題場面も,両者が小数になる問題を提示します。この問題では,「もどしているのだ算」は「簡単」と声があがります。一方,「サクランボ+入れ替え算」はここでも多様な式が生まれてきました。「分かりにくい」と声が聞こえてきました。