2024年10月17日木曜日

ゼリーの型枠を作ろう!

 子どもたちに次のように投げかけます。

「4本の棒をつなげてゼリーの型枠を3種類以上作ろう」

8㎝の棒を2本,6㎝の棒を2本子どもたちに配ります。この4本を全部使ってゼリーを流し込む型枠を作ります。完成したら,棒の内側を鉛筆でなぞります。

子どもたちはノートに様々な型枠を作っていきます。その中で,「どうせ作るなら大きいのを作りたい」と声がしました。ゼリーですから,大きいのを作りたいのが子ども心です。

できた型枠のいくつかを板書させました。見るからに大きいのが板書中央部にある平行四辺形です。そこで,「この平行四辺形が一番大きいね」と投げかけます。すると,「全部同じだよ」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味を読解します。

「辺の長さが全部同じだから,大きさも同じだよ」

「同じに見える」

「でも,弓形は小さく見える」

「斜めに倒れている平行四辺形も小さく見えるよ」

「えー,そうかなあ。同じじゃない?」

「長方形は6×8で48㎠と分かるけど・・・」

子どもの考えにはズレが生まれてきました。しかし,そのズレを確かめるには長方形以外の図形の面積を求める必要があります。しかし,それらの求積方法は未習です。そこで,「どれなら簡単そう?」と尋ねます。子どもたちは「平行四辺形」と声をあげます。

そこで,平行四辺形の面積を求めることにしました。当初は「できない」と考えていた子どももいましたが,斜めの三角の部分を移動させることで面積を求めることができました。結果は,44.8㎠となり長方形よりも小さくなりました。多くの子どもたちの予想とは異なる結果です。

さて,この平行四辺形は長方形に変身することで面積を求めることができました。そこで,この求め方がいつでも使えるのかを尋ねます。多くの子どもは「できる」と考えましたが,自信がなさそうな子どもたちも見られました。そこで,もう少し斜めに傾いた平行四辺形の面積を求めることにしました。

この図形も端の三角部分を引っ越して長方形に置き換えることで面積を求めることができました。結果は,24㎠です。長方形の半分しかありません。

ここで,「できないと思っていた平行四辺形の面積も求められたね。端っこをお引っ越したらいいんだね」と子どもたちに投げかけます。すると,「いちいちそれをするのは面倒」という声が聞こえてきました。確かに,面倒な作業です。するとそれを聞いていた別の子どもが,「だったら,ここだけ測ったらいいんじゃない?」と言って,平行四辺形を長方形に変身した縦の長さの部分を指さします。この部分の長さ(高さ)を調べれば,引っ越し作戦の必要はなさそうです。

この時間は,平行四辺形を長方形に変身したら面積が分かることを確かめていきました。一方,ゼリーの枠はまだ残っています。三角形,凧形,弓形です。これらは次時以降に取り組みます。




 

2024年10月16日水曜日

小松市の小学校を訪問しました

 昨日は,石川県小松市内の小学校を訪問しました。今年度2回目の訪問です。今回は全クラスの算数授業が公開されました。学校改革に燃える校長先生のもと,この企画は一気に進みました。歴史を降り返っても,改革の入り口は一気に進むのです。

私は全ての授業を参観し,協議会で全授業についてのコンサルを行いました。各先生方の課題や成果を具体的に提案させていただきました。全クラスを参観すると,学校全体としての課題が浮き彫りになってきます。その点について具体的に指摘させていただきました。また,私の代案授業も提案をしてきました。

約2時間の私からの提案でしたが,先生方は真剣に私の話に耳を傾けていただきました。この真剣な姿勢は,学校が変わっていくための前提条件です。今回訪問した小松市の学校には,研修に対する先生方の総合的な姿勢の質の高さが際立っていました。素晴らしいことですね。

私は教師の研修に対する姿勢の質の高さと子どもの学力の高さにはかなりの確率で相関関係があるのではないかと考えています。さて,先生方の地域はいかがでしょうか・・・。


2024年10月14日月曜日

全国算数授業研究会熊本大会申し込み開始!

 2025年1月18日(土)に全国算数授業研究会熊本大会が熊本市立力合西小学校を会場に開催されます。私は公開授業を行います。リアルにきまりを追求したくなる授業を提案します。詳細・お申し込みは以下をご覧ください。

申込先アドレス

https://forms.office.com/pages/responsepage.aspx?id=8BxEuoPhFECza7_Oc58OteljFs1QyINMvSoI-TjdcJdUMFdBVEU2NDg4T1BBM0NWSFFMTURYRTJaSS4u&route=shorturl





明日は小松市を再訪!

 この夏,初めてお招きいただいた石川県小松市の小学校を,明日再訪します。今回は全クラスが授業を公開します。「学校を変えてほしい」という校長先生の熱い思いにお応えするため,全授業を参観し,全授業について授業診断(コンサル)を行います。このスタイルは私の得意分野なんですけどね・・・。

研究授業を行う学校はたくさんありますが,全クラスが授業公開を行う学校はそれほど多くないのが実態です。このスタイルでは,学校は変わりません。変わるのは授業公開を行った先生だけです。これが現実です。

最も効果的な学校改革は,全員が授業を行うことです。さらに,その授業を1人のコンサルタントが継続して診断していくことです。この方法で学校を改革したのが,新潟市立浜浦小・高知市立泉野小・向日市立第二向陽小です。

企業では商品開発担当社員が定期的に社長の前で開発商品のプレゼンを行うのは当然の業務です。担任もこれと同じだと思うんですけどね。

明日,どんな授業が公開されるのか楽しみです!


2024年10月10日木曜日

愉しい算数授業をつくる研修会

10月12日(土)から,愉しい算数授業をつくる研修会の申し込みが始まります。以下のちらしを参考にされて,お申し込みください。



2024年10月7日月曜日

分数VS小数

子どもたちに「小さい順に並べよう」と投げかけ,7種類の分数カードを提示します。これを見た子どもの中か「えっ?」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味を読解していきます。

「分母の大きさが違うから比べにくいからだよ」

「だったら,揃えたらいいよ」

「分母を揃えたらいいね」

「分母は100かな?」

「なんか大きすぎるね」

分母の最小公倍数が100であることは見えてきました。しかし,その分母が大きすぎることに対して「分母の100が大き過ぎる」という声も聞こえきました。すると今度は,この声を聞いた子どもたちの声が続きます。

「だったら小数にしたら?」

「№71の勉強でやっているよね」

「2÷3=2/3。A÷B=A/Bで考えたら,12/5は12÷5で計算できるね」

「でも,割り切れなかったら・・・」

小数にした場合,商が割り切れない可能性があります。それを心配する声も生まれてきました。そこで,全ての分数を小数の置き換えてみます。

結果は全て割り切れる数になりました。「割り切れるなら小数も簡単」と声が聞こえてきました。その後,別の数でも実験を行います。

「割り切れる数なら,小数が簡単」

「小数はわり算だけだから簡単」

「分数は最小公倍数の分母を探して,それからかけ算をしなければいけない」

「最小公倍数はいやだなあ・・・」

「割り切れない数のときは,分数がいいね」

子どもたちは,数に応じて比べる方法を使い分けたいと考えました。解決方法の分類ができるという考え方は,高度な思考ですね。 

本実践は,「板書シリーズ」東洋館出版社を参照しています。


2024年10月6日日曜日

GAKUTOセミナー新潟 終わりました!

 昨日は新潟でGAKUTOセミナーが開催されました。なにわ男子のコンサートがある中,多くの先生方にお集まりいただきました。遠くは仙台,愛知,東京,そして海を渡って私の故郷・佐渡からも参加された先生がいらっしゃいました。感謝です!

私は5年生「体積」の模擬授業を行いました。実際に工作用紙で立体を作る作業も体験していただきました。ここで先生方の素直な思いが見えてきました。子ども目線で立体の展開図を作る先生と,なぜか急に大人目線が入って最初に思い描いた形とは異なる展開図を作る先生に分かれました。子どもたちにも似たところはありますけどね・・・。

間嶋先生,田中先生の3人での講座でした。この3人での登壇は久しぶりでしたが,なんの打ち合わせもなく3人の協議会もスムーズに進行していきました。

夜の新潟の街は,なにわ男子のファンで溢れていました! そんな中,懇親会に残ってくださった先生方と,地元の教育事情についても深く語り合えました!

次回のGAKUTOセミナーは,大阪府高槻市で11月16日(土)で開催です。こちらもお楽しみに!


2024年10月4日金曜日

偶数・奇数の秘密

「1,2,3,4,5の全ての整数の間に,+−の記号を入れて式を作ろう」と投げかけます。

最初に「一番答えが大きくなる式を作ろう」と尋ねます。問題文の意味を正しく理解できているのかを確認するためです。

答えが最大になる式は,「1+2+3+4+5=15」となります。従って,5つの数字で作られる答えは最大15までということになります。そこで15未満の答えになる式を作らせることにしました。この時点では,1〜15までのすべての答えを作ることができると考える子どもと,作ることができないと考える子どもがほぼ半々でした。

子どもたちが計算を進めます。しばらくすると,「奇数しかできない」という声が聞こえてきました。できた式を板書させ,答えを確認します。

完成したのは,1,3,5,7,9,11,13の奇数のみです。この結果を見た子どもから,声が聞こえてきます。

「オンライン授業に似ているよ」

「№56で勉強した偶数+奇数=奇数,偶数+偶数=偶数,奇数+奇数=偶数と同じだ」

「例えば3+4−5+2+1=5なら,最初の奇数(3)+偶数(4)で奇数(7)になる。この奇数(7)−奇数(5)で偶数(2)。次の偶数(2)+偶数(2)で偶数(4)。次は偶数(4)+奇数(1)だから奇数(5)の答えになる」

「ブロックでも説明できます。奇数は飛び出した形。偶数は飛び出さない形。1,3,5と奇数が3個だから,飛び出したブロックを3個合わせると,1個飛び出すから奇数になる」

子どもたちは,臨時休校でオンライン授業を行った際の学習内容を想起して,答えが奇数しか生まれない理由を説明してきました。

この理由から,子どもたちは「奇数が2個なら偶数の答えができる」と考えます。飛び出すブロックが2個なので,合わせたら飛び出し部分は消えるからです。

そこで,1,2,3,4で実験を行います。結果は,0,2,4,6,8,10の偶数のみの答えが完成しました。一方,飛び出しがないので奇数の声が生まれてきません。

最後に次の声が生まれてきました。

「奇数の数字が奇数個分あれば,答えは奇数しかできない。奇数の数字が偶数個分あれば,答えは偶数しかできない」

1時間の学びを見事に集約した言葉でした。


明日は新潟でGAKUTOセミナーです!

明日5日(土)は,新潟市の新潟テルサを会場にGAKUTOセミナーIN新潟が開催されます。講師は,私の師匠・田中博史先生と私の同志・間嶋哲先生です。教科書をベースに,どのように子どもの主体性を伸ばしていくのかを学ぶ会です。

夏休みに故郷・佐渡に帰省して以来の新潟です。明日の飛行機はなにわ男子のコンサートに向かうファンで満席状態です。ビジネス客は私1人かも・・・。

さて,私は5年生の模擬授業を行います。参加者の先生方に悩んでもらう展開を考えています。一緒に悩み?ましょう!

以下のサイトから,お申し込みください。

 申込サイト
https://gakuto-sansu-seminar2024niigata.peatix.com

2024年10月3日木曜日

赤は青の何倍?

子どもたちに,赤4m・青2m・黒3mのリボンを提示します。そして,「□は□のリボンの長さの何倍ですか」と問題文を板書します。

先ずは,「□がどんな数なら簡単?」と尋ねます。子どもから生まれてきたのが「赤は青の何倍ですか」でした。そこでこの問題に取り組みます。
この問題は簡単でした。4÷2=2で2倍と関係を求めます。この問題に取り組んでいるとき「4ます表で式が分かる」と声があがります。そこで,4ます表に場面を整理します。ところが,1倍を2mの下に書くのか4mの下に書くのかが問題となりました。この悩みを子どもたちは,次のように乗り越えていきました。
「赤は青の何倍と書いてある。『は』と『の』が大切。『の』が1倍になる」
「『の』がついている方が基準だ」
「赤=青×○にできる。赤『は』だから『は』が『=』になる。青『の何倍』だから『×○』になる」
「本当だ!すごい!」
   後半の説明は,問題の文章をそのまま式に置き換えるという考えです。これには子どもたちもびっくりでした。これらの説明で,2mが基準となる1倍になることが分かりました。

次に,「いやなタイプはどんな問題」と尋ねます。「赤は黒の何倍はいやだ」と声があがります。そこで,この問題に取り組みました。
しかし,前述の考え方を使って子どもたちは問題に向き合っていきました。1つ前の問題場面の考え方を活用することで,「いやなタイプの問題」も乗り越えていくことができました。


 

2024年10月2日水曜日

だまされた!

子どもたちに「3mのテープを渡します。3/4mを切り取りましょう」と投げかけます。4人1組に3mの紙テープを渡します。4人で協力して,テープを折り始めます。子どもたちは,切り取ったテープを貼っていきます。
結果は,全ての班が同じ長さのテープを切り出しました。
「全員,同じになったね」
この私の問いかけに,多くの子どもたちが頷いています。ところが,じっくりとテープを見つめ子どもが数人います。その後,「あれ?」という疑問の声が聞こえてきます。
「3/4mは1mよりも短いよ」
「あっ!」
この指摘で,子どもたちがテープの長さを見直します。子どもたちの気づきが広がっていきます。
「1mの3/4を作るんだ」
「ぼくたちが作ったのは,3mの3/4だ」
「1mの3/4なら75㎝になる」
「3÷4で0.75mだ」
「だから,分けるのは1mを分ける」
「3mを分けると間違う」
3/4mと3/4の違いを,時間をかけてゆっくりと共有してきました。
その後,1mを基準にした3/4mを作りました。

量分数と分割分数の混同は,中学年から頻繁に見られる姿です。5年生も同様に騙されてしまいました。しかし,「3/4mは1mよりも短い」という気づきをきっかけに,作ったテープを見直すことにつながっていきました。



 

2024年10月1日火曜日

「2Lのジュースを□人で等分します。1人分は何Lですか」

この問題を提示し,「□がどんな数なら簡単ですか」と尋ねます。子どもたちからは,「2人」「4人」と偶数を指摘する声があがります。

そこで,□が2人の場合を実験します。これは「2÷2=1」なので1Lと分かります。

その後,「□がどんな数なら難しいかな」と尋ねます。子どもからは奇数の値が発表されます。そこで,□が3人の場合を実験します。式は「2÷3」です。ところが,計算が終わった子どもからから「割れない」「四捨五入したらいい」「あまりを出したらいい」などの声があがります。そのまま計算すると,「0.666...」となり割り切れません。つまり,きちんとした数では表現できないことが見えてきました。では,2Lを3人では分けられないのでしょうか。

子どもからは,次の声があがってきます。

「3つのカップにジュースを入れたら,分けられるよ」

「確かに!」

「でも,どうするの?」

「分数にしたら?」

「分数?」

「分数」という言葉が生まれてきましたが,クラス全体にはこのイメージは共有されません。そこで,「分数?」と投げかけます。

すると,指で円を描く姿が見えました。そこで,このジェスチャーの意味を読解します。

「コップを描いて,3つに分ける」

「もう1個コップを描いて,3つに分ける」

「1つのコップを赤く塗ると,これは1/3L」

「もう1つのコップも赤く塗ると1/3L」

「1/3Lと1/3Lで2/3Lになる」

1Lのジュースを1つの円で表現することで,1人分を求めるアイディアが生まれてきました。式を図に置き換えることで,分けられないと思っていた数値が分けられることが見えてきました。

2/3Lという分数ならすっきりした数で表現できます。

この方法が他の奇数でも使えるのか,実験します。7人の場合,9人の場合を実験します。いずれも図で1人分を確認します。9人の場合は,図で2/9Lと分かりました。

この9人分の図を描いているとき,「きまりがある」「くるっ」という声が聞こえてきました。そこで,今度はこの声を読解します。

「きまりがあるよ。もし2÷7なら,式の7は分母になっている」

「式の2は分子になっている」

「本当だ」

この発見に,多くの子どもが驚いています。そこで,「それはたまたまでしょ」と投げかけます。すると,次の声が続きます。

「たまたまじゃないよ。他もそうなっている」

「2÷3も3が分母で2が分子になっている」

「2÷9も分母が9で分子が2になっている」

「たまたま」の投げかけから,子どもたちは対象範囲をホワイトボード全体に広げて検証をしていくことができました。

帰納的な考え方を発揮して,わり算の商のきまりを発見した1時間でした。’



全国算数授業研究会関西算数セミナー開催

全国算数授業研究会関西ブロックが主催する算数セミナーを,12月8日(日)に大阪府高槻市で対面形式で開催します。詳細は以下をご覧ください。