2024年10月1日火曜日

「2Lのジュースを□人で等分します。1人分は何Lですか」

この問題を提示し,「□がどんな数なら簡単ですか」と尋ねます。子どもたちからは,「2人」「4人」と偶数を指摘する声があがります。

そこで,□が2人の場合を実験します。これは「2÷2=1」なので1Lと分かります。

その後,「□がどんな数なら難しいかな」と尋ねます。子どもからは奇数の値が発表されます。そこで,□が3人の場合を実験します。式は「2÷3」です。ところが,計算が終わった子どもからから「割れない」「四捨五入したらいい」「あまりを出したらいい」などの声があがります。そのまま計算すると,「0.666...」となり割り切れません。つまり,きちんとした数では表現できないことが見えてきました。では,2Lを3人では分けられないのでしょうか。

子どもからは,次の声があがってきます。

「3つのカップにジュースを入れたら,分けられるよ」

「確かに!」

「でも,どうするの?」

「分数にしたら?」

「分数?」

「分数」という言葉が生まれてきましたが,クラス全体にはこのイメージは共有されません。そこで,「分数?」と投げかけます。

すると,指で円を描く姿が見えました。そこで,このジェスチャーの意味を読解します。

「コップを描いて,3つに分ける」

「もう1個コップを描いて,3つに分ける」

「1つのコップを赤く塗ると,これは1/3L」

「もう1つのコップも赤く塗ると1/3L」

「1/3Lと1/3Lで2/3Lになる」

1Lのジュースを1つの円で表現することで,1人分を求めるアイディアが生まれてきました。式を図に置き換えることで,分けられないと思っていた数値が分けられることが見えてきました。

2/3Lという分数ならすっきりした数で表現できます。

この方法が他の奇数でも使えるのか,実験します。7人の場合,9人の場合を実験します。いずれも図で1人分を確認します。9人の場合は,図で2/9Lと分かりました。

この9人分の図を描いているとき,「きまりがある」「くるっ」という声が聞こえてきました。そこで,今度はこの声を読解します。

「きまりがあるよ。もし2÷7なら,式の7は分母になっている」

「式の2は分子になっている」

「本当だ」

この発見に,多くの子どもが驚いています。そこで,「それはたまたまでしょ」と投げかけます。すると,次の声が続きます。

「たまたまじゃないよ。他もそうなっている」

「2÷3も3が分母で2が分子になっている」

「2÷9も分母が9で分子が2になっている」

「たまたま」の投げかけから,子どもたちは対象範囲をホワイトボード全体に広げて検証をしていくことができました。

帰納的な考え方を発揮して,わり算の商のきまりを発見した1時間でした。’