子どもたちに次のように投げかけます。
「面積が一番大きいゼリーはどれでしょう?」
テレビに,4種類の平行四辺形を順に提示し,すぐに隠します。
「最初のが大きいよ」
「全部同じじゃない?」
「最後のが見た目は大きく見えた」
子どもの判断にズレが生まれました。「もう1回見たい」と声があがります。そこで,再度図形を提示します。ところが,「ちょっと待ってください」と言って,定規を手に持つ姿が散見されました。そこで,この行動の気持ちを読解します。
「長さを測っている」
「縦と底辺の長さを測ろうとしている」
子どもたちは,面積を求めるために必要な長さを自席から測定しようとしているのでした。
子どもたちの準備ができたところで,図形を順次提示します。子どもたちは定規を目に当てて,底辺と高さを測定していきました。
「全部同じだ」
「底辺は同じだ」
「高さが違ったよ」
「高さも同じだよ」
測定結果にズレが生まれました。自席から測定しているからかもしれません。そこで,テレビに写した図形と縮小サイズの図形を配布します。これなら正しく測定ができるはずです。
ところが,測定が始まってしばらくすると,またもやズレが顕在化してきました。
「底辺は1.7㎝で同じだ」
「あれ? 高さが違うよ。なんで?」
「本当だ」
「え,同じだよ」
高さの測定結果にズレが生まれました。そこで,「高さが違うと言っている人がいるけど,気持ちは分かりますか」と尋ねます。
「斜めの辺の長さを測っている」
「斜めの辺の長さが違う」
「斜めじゃないよ。18日の算数で『高さは直角』と勉強したから直角で調べないとだめだよ」
高さを斜辺で捉えるのか垂線の長さで捉えるのかが,ズレの原因であることが見えてきました。ズレを提示したことで,平行四辺形の求積に必要な長さが底辺に垂直な高さの部分であることを改めて確認できました。